中公新書「奈良時代」を読んだ感想!奈良時代の理解が深まる!

本の感想
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中公新書の「奈良時代」を読んだ感想です!

「奈良時代」はどんな本?

奈良時代」は中公新書シリーズから刊行された本です。

「新書」とは文庫本に似た軽くて小さい本です。文庫よりは少し大きいです。特定のテーマに関する入門書が多いです。

中公新書は中央公論新社が出している新書のシリーズで、新書の中ではアカデミック色が強いです。

「奈良時代」はタイトルの通り、日本史の中で奈良時代の政治史に焦点を当てた本です。

平城京誕生から平安遷都までの政治史ですが、平城京誕生前夜の持統天皇の時代にも少し触れていて、平城京誕生の流れがわかりやすくなっています。

著者は、日本古代政治史が専門の木本好信さんです。

「奈良時代」の内容は難しい?

「奈良時代」の内容の難易度ですが…うーん、何と言えばいいかなあ…

私は高校で日本史を選択し、日本史自体は得意ではなかったですが、なぜか飛鳥~奈良時代は好きでした。

そのため、奈良時代の長屋王→藤原四子→橘諸兄…といった奈良時代の勢力変遷は、軽く頭に入っています。

その程度の知識で読むと、「奈良時代」は非常にわかりやすい本でした。

まず政治史を中心とした記述にブレがなく、流れが一貫していて理解しやすいです。

また勢力争いに動きがある際には、人間関係をていねいに解説し、人物たちの感情部分を推測しながら説明してあるため、ちょっとしたドラマのようで面白いです。

ですが、高校で日本史を選択していなかったり、奈良時代の重要人物をあまり覚えていなかったりする読者には、登場人物が多すぎて難しく感じるかもしれません。

その意味では、「奈良時代」の超入門書というわけではありません。

「奈良時代」は高校日本史を学習した人には読みやすい本だが、奈良時代の歴史はほとんど頭に入っていないという人には難しいかも。

平城京の歴史の「なぜ」が見えてくる!

奈良時代好きの私からすると、この「奈良時代」という本は非常に面白かったです。

飛鳥~奈良時代は女性の天皇が登場するため、それだけでも何となく女性にとって親近感のある時代なのですが、なぜ女性天皇が存在したのかということが「奈良時代」を読むと見えてきます。

「奈良時代」の著者さんの見解によると、女性天皇は「次の有力な後継者である男性天皇にバトンタッチするためのつなぎの役目」を果たすことが多いです。

もし奈良時代が女性の地位が高い時代であれば、天皇周辺の政治家にも女性がいるはずですが、そのような人物はほとんど存在しません。

女性が積極的に政治に参画した時代ではないけれども、男性かどうかより血統の方が重視された…その結果、何人かの女性天皇が現れたのかな…と思いました。

また、奈良時代は政変によって権力者が変わることが多いですが、その政変も、誰と誰がタグを組んでいて、どんな目的て起こした政変なのかが、ていねいに描かれています。

それから高校日本史では、平城京→平安京遷都は「政治の一新」とかであいまいに片づけられますが、天皇の系譜にも大きな変化がある(天武系→天智系)と知って「なるほど…」と思いました。

その意味で奈良時代の「なぜ」がわかる本なので、受験生にも向いていると思います。

しかしどんなにていねいな記述があっても、相変わらずよくわからないのは、聖武天皇が繰り返した遷都ですね。

それでも作者さんは何とかできる範囲で、聖武天皇の気持ちを史実から外れない範囲で推し量っています(それでもよくわからないけど)。

歴史の「なぜ」には、ブラックボックスである人間の「気持ち」が関わっている部分が大きく、だからこそ永遠に読み解けないこともあるのかもしれません。

称徳天皇…興味深い人物ではあるなあ…

著者さんの見解では、奈良時代=天武系統の天皇の時代が終焉したのは、聖武天皇と称徳天皇が後継をしっかり確立なかったことが大きな原因のひとつです。

天武皇統の断絶は、もとはといえば娘孝謙が独身であったのだから早く貴族官人の納得する皇太子を決めて、次代を背負う天皇として育てていればふせぐことができた。聖武を優柔不断だとする事由である。

結局、称徳は父聖武と同様、後継天皇を擁して皇位をつなぐという最大の責任を果たさなかった。藤原式家を中心とするいわば無血クーデターにより、聖武の娘婿とはいえ天智天皇皇孫の光仁天皇が即位し、皇統は天武系から天智系へと移った。

歴史学的に見ると、しっかり皇位継承を行わない天皇は評価されないのでしょうけど、私のようなお気楽庶民が自分の価値観だけで見ると、権力を世襲することに積極的でないという点は嫌いではないな…なんて思っちゃいます。

特に称徳天皇は、皇族ではないお気に入りの僧侶・道鏡に譲位しようとまで考えていたっぽくて、これは歴史的に見るとトンデモナイことでしょう。

しかし、そんなトンデモナイことを考える…「既成の価値観にとらわれない」という側面そのものには好感が持ててしまいます。

血のつながりがある人間より、好きな人間の方に何かを引きつぐというのは、奈良時代において非常に斬新な価値観(正しいかどうかは置いといて)です。

真剣に歴史学を学ぶと「この著者さんの評価は正しいな…」と思うのかもしれませんが、無責任な個人としては、称徳天皇は数々の史実を鑑みると問題点は確かにありそうですが、少なくとも非常に興味の持てる人物ではある…と思うのです。

まとめ

というわけで、「奈良時代」の感想でした。

「奈良時代」の政治史をていねいに学ぶのに最適な一冊で、私は大変に面白く読めた本でした。

歴史にはいろんな見方がありますが、著者さんはご自身の見解を書く時にはきちんと自分の考えだと添えていて、そういった点でも読みやすさを感じました。

奈良時代が好きな方、奈良時代の歴史を復習したい方、教科書的な歴史よりさらに深く学びたい学生さんなどにおすすめです!

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