「怖い絵」を読んだ感想!怖くはなかったけど面白かった!

怖い絵 本の感想
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ウィーンに行く前に読んだ「ハプスブルク家12の物語」がとても面白かったです。

「ハプスブルク家12の物語」感想!中野京子さんの本おもしろい!
ウィーンに旅行に行くならハプスブルク家のことを学んでおかなきゃ…でも世界史って苦手だったんだよなあ…。「怖い絵」の作者・中野京子さんが名画を紹介しながらハプスブルク家の歴史をたどる本を書いているので読んでみると…世界史オンチの私でも楽しく読めました!

「著者の中野京子さんの本を他にも読んでみたい!」と思い、ベストセラーになった「怖い絵」を読んでみました!

その感想です。

怖く…はなかったけど面白かった!

まず率直な感想を書くと、タイトルの「怖い絵」から期待したほどは怖くなかったです。

ですが、怖くはなかったけど面白かった!

本の内容は、ひとつの絵を題材にして、その絵が描かれた背景や、絵から読み取れる深読み的な解釈…といった感じです。

扱われている絵画はすべて西洋絵画です。

西洋絵画は、死神や骸骨などが描かれることがあり、絵そのものが怖いことがありますが、本書で扱われている絵画は、絵そのものが怖いものばかりではありません。

絵が描かれた時代やテーマ、絵を描くことになった契機や作者の人生を知ると、パッと見るとただ美しいだけに見える絵が、ちょっと違って見えてくる…。

中野京子さんの文章がうまいためか、一章ごとに扱われている絵が、その章を読まずに初見で観賞した時と、章を読み終わってから改めて見直してみた時で違う風に見えてくるのがスゴイです。

確かに、そのギャップが怖いかと言われると怖いですね。

ぽこ
ぽこ

ホガース『グラハム家の子どもたち』なんか、最初はかわいい絵に見えるんですが、解説を読んだ後だともはや怖い絵にしか見えません。

絵には主観が含まれる…時には悪意も

中野京子さんがこの本を書こうと思ったきっかけとなったのは、『マリー・アントワネット最後の肖像』というスケッチ画だそうです。

断頭台に向かう前に市内引き回しをされる元女王のスケッチ画ですが、中野京子さんによると、この絵は作者のダヴィットによって、悪意をこめてわざと醜く描かれているといいます。

さりげなく欠点が誇張され、美化ならぬ醜化がなされている。女性なら誰であっても、決してこんなふうには描かれたくないと思うだろう。

…なるほど。

これって、絵画でなく写真ですらも、現在でも行われていることのような気がします。

有名人が何かスキャンダルを起こすと、ニュースにアイキャッチのように添えられる写真は、その事件と関係ない写真でも、わざとその有名人が悪人に見えるような画像をひっぱってくることがよくありますね。

この「怖い絵」を読んでつくつぐ感じたことは、まず私たちは、あるがままの世界を見ているようで、実は自分のフィルターを通して、自分が見たいように世界を見ているということ。

そして世界そのものではなく、動画や写真・絵など、誰かが作成したいわば「二次的な世界」を見るときは、「誰かのフィルターを通した世界」を、さらに「自分のフィルターを通して」見てしまうということ。

二重のフィルターを通して見るわけですから、「二次的な世界(=誰かの作品)」を見るときは、それを「世界そのものを純粋に公正に見ている」と勘違いしてはいけないということですね。

ぽこ
ぽこ

うーん。自分に言い聞かせたいです。

私たちが「怖い絵」に惹かれてしまう理由

ガニュメデスの誘拐

さて、怖い絵で扱われている内容以上に感銘を受けたのが、まえがきに書かれたこの部分です。

恐怖の源、それは何より「死」である。肉体の死ばかりだけでなく、精神の死ともいうべき「狂気」である。直接的な恐怖はほとんど全て、このふたつの死へと収斂されると言っていいだろう。

人は安全な場所から恐怖を垣間見たい、恐怖を楽しみたい、というどうしようもない欲求を持ってしまう。これは奇妙でも何でもなく、死の恐怖を感じるときほど生きる実感を得られる瞬間はない、という人間存在の皮肉な有りようからきている。

「怖い絵」に限らず、「怖い小説」「怖いマンガ」「怖い映画」…恐怖系のエンタテイメントは、人間のカルチャーに欠かせません。

私もハッピーエンド小説より、内容が暗い小説が好きですが、それもこういった傾向だと言えるかもしれませんね。

人間はなぜ、わざわざ恐怖とか不幸とか、そういうものをエンタメとして楽しむ本能があるのか不思議に思うことがありましたが、中野京子さんのこの意見は説得力があります。

人類は文明を発達させた結果、戦争状態にある地域はまだあるにせよ、おおむね太古の時代よりもずっと安全な生活を送れるようになりましたが、なぜだか逃げて捨ててきたはずの「恐怖の生活」に魅力を感じてしまう。

人間のこういったダークな部分から目をそらすのではなく、そこを認めることで、どうにか自分の心の闇と折り合いをつける方法を探していかなければならないんだろうなあ…。

まとめ

中野京子さん「怖い絵」の感想でした!

ちなみにこの本で紹介された絵で、一番怖いと感じたのはルドンの『キュクロプス』です。

オランダのクレラー・ミュラー美術館という美術館にあるらしいですが…怖いけど、やっぱりいつか見てみたいなあ…。

 

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