奥明日香探訪!
奥明日香の稲渕地区に伝わる古くからのおまじない、「男綱」を見に行きます!
「男綱」はワラで作られた男性の象徴を川に吊るしたもの
「男綱(おづな)」は、ワラで作られた男性の象徴(この表現で察して!)を、飛鳥川の上に吊るしたもので、勧請縄(かんじょうなわ)の一種です。
日本の農村では地域の境目に呪物をつけた縄を張り、疫病などの災厄が村に入ってくるのを防ぐ習慣が残る地域があります。この縄を「勧請縄」と呼びます。
「男綱」は棚田で有名な稲渕地区にあり、稲渕の東側にある阪田地区との境界に張られています。
集落の境界に位置することからわかるように、「男綱」は集落に災厄が入ることを防いでいますが、他にも子孫繁栄、五穀豊穣を祈願するものでもあるそうです。
性を象徴するものをワラでつくることから、子宝、農業に結びつくのは納得ですね。
興味深いのは、稲渕地区の北東側の境界は、「男綱」までは飛鳥川で隔てられていること。
「男綱」を張る地点までは、飛鳥川が地区を災厄から守る結界の役割を果たしているのかな?と想像が膨らみます。
稲渕地区「男綱」への行き方
「男綱」は飛鳥地区(北側)から見て、稲渕棚田が終わる場所にあります。
石舞台古墳からは約2㎞徒歩で20~30分程度です。
石舞台古墳から「男綱」までは緩やかに上ってはいますが、自転車で行けないほどではありません。自転車だと10分程度です。
飛鳥駅からだと約3㎞あり、歩いて50分程度。歩けない距離ではありませんが、石舞台古墳までバスで行くか、レンタサイクルを利用するのがおすすめかなと思います。
稲渕棚田が右側に見える県道15号線を歩き、棚田が終わるくらいの場所に左側に「男綱があるよ!」というサインのような、しめ縄がされている木が見えてきます。
この木が見えたら、すぐ右手の方に「男綱」が現れます。
「男綱」はカッコいい!
「男綱」は…なかなかカッコよかったです!
ひなびた集落を静かに流れる飛鳥川の上に、存在感たっぷりにかけ渡してあります。
男性の象徴と言われますが、それほどリアルではなく、何となくパワーがありそうな深淵さを感じます。
ていうか、集落の境界で結界の役割を果たしているなんて、働きそのものがカッコイイ!
「男綱」は龍神を祀っているとも言われる
「男綱」は雄の龍神を祀っているとも言われています。
しかも、この龍神様が棲んでいる場所は決まっているとか!
そこは、「男綱」よりもずっとずっと山奥にある「男渕/男淵(おぶち)」という滝です。
「男綱」から5㎞くらい離れているように見えますが、どうやって行けばよいのかもわからないような山中…。
雄の龍神が棲む「男渕」は、そのまま龍宮にもつながっていると言われます。素敵…。
いつか行ってみたいけど…すんごくアクセスが大変そうっ!
この「男渕」では昔から雨乞いが行われていたそうです。龍神は恵みの雨をもたらす神様なんですね。
「男綱」は「女綱」と対になっている
「男綱」があるなら「女綱」はないの?
…あります!奥明日香には「女綱(めづな)」もあります。
「男綱」よりもずっと上流(=飛鳥地区から見ると遠い)の栢森地区にあり、こちらは女性の象徴が飛鳥川に張られています。雌の龍神を祀っています。
「女綱」も勧請縄で、柏森地区の西端、お隣の高取地区との境界にあります。
「男綱」は稲渕地区の東側を守り、「女綱」は栢森地区の西側を守っていて、対になってこのエリアの東西を守っているんですね。
興味深いのは、稲渕地区の北東側の境界は、男綱までは飛鳥川で隔てられていること。
男綱を張る地点までは、飛鳥川が地区を災厄から守る結界の役割を果たしているのかな?と想像が膨らみます。
まとめ
奥明日香、稲渕地区の「男綱」の観光記でした!
稲渕棚田とはほとんど隣り合わせにあるので、石舞台古墳から足を運んで、ぜひ棚田と男綱をセットで訪問してみてください!