私は今回のチェコ旅行最大の山場は、土曜日に一日一往復しかないバスを使って、現地20分滞在でホラショヴィツェに行くことだと思っていました。
このミッションは、ヒヤヒヤながら無事に遂行完了!
この難問をクリアしたあとは、「のんびりとチェコ&オーストリア旅行!」と、気持ちは完全に緩んでいました。
しかし…本当の試練は、チェコを発つチェスケー・ブディェヨヴィツェ駅で待ち構えていました…。
乗る予定のリンツ行き電車が電光掲示板から消えた!
この日は移動日。
チェコのチェスケー・ブディェヨヴィツェから、一気に国境を越えて、オーストリアのインスブルックまで鉄道で行きます。
オーストリアのチェコとの国境付近にあるリンツという町で、チェコ鉄道(CD)からオーストリア鉄道(ÖBB)に乗り換える、トータル5時間の鉄道旅です。
切符はすべて、日本でオンライン予約しておきました。
乗車する電車は、8時8分発。頑張って早起きして、20分前にはチェスケー・ブディェヨヴィツェ駅に到着しました。感心だね、私!
チェスケー・ブディェヨヴィツェの電光掲示板を見上げると
上から5番目にリンツ行きの8時8分発の電車があります。
最後の欄にホームが表示されていますが、まだ出発ホームは決まっていないようです。
なぜだか旅行者たちは、この電光掲示板の前に突っ立って、掲示板をじーっと見つめています。
何でずっと電光掲示板を見張っているんだろう?チェコの人たちのクセなのかな?
ずっと電光掲示板をにらんでいても仕方がないと思ったので、まだ20分前と余裕もあったし、私はブラっとチェスケー・ブディェヨヴィツェ駅構内を散策しました。
そして5分後くらいに戻ってきて、「もう出発ホームは決まったかな?」と電光掲示板を見てみると…。
…あれ???
さっきまであった8時8分発の電車が電光掲示板から消えている。
まあ、何らかのアクシデントで掲示板から消えてしまったんだろう、と気楽に考えていた私は、電光掲示板のすぐ近くにある、切符売り場窓口で尋ねました。
すみません。8時8分発のリンツ行き電車は何番ホームから出ますか?電光掲示板に書いてないんですけど。
切符売り場のひどく不愛想な女性スタッフは、ぶっきらぼうに何か答えましたが、最初は「スリー」と聞こえた気がしたので、3番ホームかと思いました。
しかし、よく聞くとCancelledと言っているよ!!!
キャンセル!?運休ってこと?ついさっきまで電光掲示板に電車が表示されてたのに!?リンツで乗り換えがあるんだけど、どうなるの!?
一気にいろんなことが頭に浮かんできて、プチパニックになりかけた私に、スタッフは冷たく「インフォメーションに行け」と言い捨てるだけ。
インフォメーション…?
インフォメーションで切符にサインをもらう
インフォメーションって何?プチパニックの頭で、スタッフも冷たく、異国で何も頼るものがない私…。
悲しくなってしまうけど、悲しんでいる場合ではないっ!まずはインフォメーションとやらにたどり着かなければ!
駅構内の左手の方にiマークがあるので、これのこと?とにかく行ってみるしかない。
ここがインフォメーションかあ…。
私と同じくリンツ行きに乗る予定だった乗客が、すでに二組、カウンターに並んでいました。
ひとつ前に並んでいた男性はチェコ人かオーストリア人で、不安そうな私のチケットを見てくれました。
バスでリンツまで行くか、10時台のリンツ行きに振り替えになると思いますよ。僕は急いでいるので、バスに乗るために払い戻してもらう予定です。
や、やさしい…(涙)。チェコ鉄道のスタッフよりずっとやさしい…。
彼にやさしく声をかけてもらったことで、不安は消えないながらも、少しだけ頭は落ち着きました。本当にありがたかったです。
で、私たちの番が来ました。
窓口でプリントアウトしたチケットを見せて、リンツでインスブルック行のオーストリア鉄道への乗り換えがあることも含めて、事情を説明したら、女性スタッフは無言で何かを始めました。
何も説明してくれないので、「すみません、どうすればいいんですか?」と尋ねると「モーメント!!!(ちょっと待て)」と怒ったように言われました…。
もうね、チェコ鉄道のスタッフなんかより、私たちと同じ運命になった一般客の方が百倍くらいやさしいという…
スタッフは何か紙をプリントアウトして、奥の方に向かって若い女性スタッフを呼び出し、その紙と、私のチケットを渡しました。
で、私たちに奥のカウンターで手続きをするように、ジェスチャーしました。
新しく出てきた若い女性スタッフは、すっごく美人だったんですが、やっぱり無言。「すみません」も、「ハロー」すらもありません。
無言で私のチケットに何か書き込み、スタンプを押しました。
で、何事か書き込んだ私のチケットと、
リンツでの乗り換え情報?が書かれた紙を出して、そのまま去って行こうとしました。
ちょっと待ってください!わけがわかりません!説明してください!
さすがに引き留めた私。「は?必要なものは渡したでしょ?」と顔をする美人さん。
とにかく疑問点は全部聞きました。
- 次の電車は何時になるんですか?
- これは電車を指定した予約チケットなんだけど、次の電車にも同じ条件(1等車)で乗れるんですか?
- リンツではオーストリア鉄道(ÖBB)に乗り換えるんだけど、そちらも特定の電車を予約してあります。当然それには間に合わないわけですが、このサインしてある切符を見せれば、後発の電車に追加料金なしで乗れるんですか?
次のリンツ行きの電車は2時間後、その後の2つの問いの答えは、どちらもYESでした。
何で質問しなきゃ教えてくれないんだよ…。いくら何でも、外国人旅行者に冷たすぎない…?
この時は「差別?」という言葉まで頭に浮かんだのですが、実際にはチェコ人全員が冷たいわけではなく、むしろ他の場面ではとても親切にされたことも多かったんですよね。
とにかくチェコ鉄道のスタッフは関わった3人全員、「トラブルに巻き込まれた予約客の力になってあげよう」という気持ちはみじんも感じられなかったです。
駅構内にカフェはなく外のマクドナルドで休憩
さて、電車は2時間後。
オーストリア鉄道への乗り継ぎも、切符を買い替える必要はないことはわかった。
この時になって私はようやく、駅構内の電光掲示板をにらみつけていた人々の行動の謎がとけたわけです。
自分が乗る電車がきちんと運行されるのか、気が気じゃないんですね…。今ならわかるぜ…。
あと2時間もあるよ…。でも、チェスケー・ブディェヨヴィツェ駅構内にカフェはありません。
駅の目の前にはカフェが入っている商業ビルがあるのですが、この商業ビル、トイレが有料なんですよね…。
この日は朝早くチェコを発つだけのハズだったので、実はチェココルナを頑張って前日に使い果たし、もう文字通りスズメの涙しか残っていなくて、5czk以上は必要なコイントイレに入れない…。
そこで、ちょっと駅から離れて、トイレが使えそうなカフェを探すことにしました。
スーツケースは駅のコインロッカーに入れてもよかったんだけど、もはやチェコ不審に陥っていた私は荷物を手放したくなくて、スーツケースを引っ張ってとぼとぼと歩きました。
一つ先の大通りに、マクドナルドを発見。
でも、チェコのマクドナルドはトイレが別料金のことが多いんだよなあ…
と、入口前で迷っていると、何とマクドナルドなのに、中から丁寧に「どうぞ」とドアを開けられました!
背の高いさわやかな男性で、このままそそくさと去れなかったので、事情を説明しました。
実は現金のチェココルナを使い果たしてしまって、クレジットカードしか使えないんです。中でお茶を飲んだ後、トイレも使いたいのですが、クレジットでも利用できますか?
するとさわやか男性は、「ああ、そういうことなら声をかけてくれたら、トイレは僕がカギで開けます。どうぞ入店してください」と、にこやかに笑い返してくれたのでした。
ああ、さっきのチェコ鉄道のスタッフたちの対応に胸がシワシワしてしまったけど、このさわやか男性のおかげで、一気にさわやか気分になりました。
繰り返しますが、本当にチェコ人が全員冷たいわけではなくて、やさしい人のほうが圧倒的に多いんです!
日本ではほとんどマクドナルドを使わない私ですが、このチェスケー・ブディェヨヴィツェのマクドナルドのおかげで、マクドナルドへの好感度が跳ね上がりました。
グローバル企業ってのは、一人一人の客を大切にすることが大事なんだなあ…。
試練の前半まとめ
というわけで、チェコ鉄道の予約していた電車が、突然(10分前!)運休になった顛末でした。
予約しておいた場合の対応をまとめておきます。
- 予約したチェコ鉄道の電車が運休になったら予約チケットを持ってインフォメーションに行こう
- インフォメーションで同じチケットで次の電車に乗れるように手続きしてもらおう
- その後に他の鉄道会社の乗り換えを予約してしまっている場合は、そのチケットも窓口で渡して、他の電車に振り替えてもらえるように一筆書いてもらおう
さて、これで一件落着…と言いたいところなのですが、実はコレ、「チェコの鉄道トラブル前半編」に過ぎなかったのであります。
後半編はこちら!(全然楽しい話じゃないけど)