京都の四条大橋のたもとに「出雲阿国像」がありました。
出雲阿国と言えば、日本史で習った歌舞伎の創始者と伝えられる人物ですが…
何でここに出雲阿国像があるんだろう?
と思い、出雲阿国や歌舞伎について日本史で習ったことを復習してみました。
出雲阿国像は四条大橋のたもとにひっそりと…
出雲阿国像は四条大橋のたもと、鴨川を挟んだ祇園側にあります。
祇園界隈は観光客が多いエリアですが、日本人観光客も外国人観光客も誰も出雲阿国像を見ていない…。
まあ確かに、歌舞伎と言えば京都よりも東京銀座の歌舞伎座のイメージが強いですよね。
出雲阿国は高校日本史の文化史で名前を覚えますが、歌舞伎の創始者と言われています。
詳細な生涯が不明だったり、実在が疑われたりすることもある、謎の多い人物です。
一応、出雲阿国が鴨川の四条近くの河原で「かぶき踊り」を踊ったという記録があり、四条大橋周辺は歌舞伎発祥の地ということで、出雲阿国像が建てられています。
私は京都河原町のホテルに宿泊しましたが、ホテルにも出雲阿国をイメージした衣装が飾ってありました。
「かぶき踊り」の「かぶき」は「傾奇者(かぶきもの)」からという言葉から来ています。
傾奇者とは、戦国時代から江戸時代にかけて存在した身なりや行動が派手な暴れ者たちのことで…現代風に言えばヤンキーに近いですかね。
出雲阿国はこの「傾奇者」たちの衣装などを取り入れて「かぶき踊り」を創始し、大人気となったそうです。
現代でもヤンキーっぽい売り方をする芸能人はいますし、ヤンキー文化は一定の人気があるのが常ですので、何となくわかる気がしますね。
四条大橋近くの南座と歌舞伎の歴史
出雲阿国自体が謎めいた人物ということもあり、河原町が歌舞伎発祥の地というのも史実か伝説かわからないところがありますが、四条大橋周辺は歌舞伎とゆかりのある場所です。
出雲阿国像の近くには、京都四條南座という歌舞伎劇場があります。
男性のみで上演する歌舞伎の創始者が女性だなんて、ちょっと不思議な気がしますが、高校の時に日本史を教えてくれた先生がこう言ってました。
最初、歌舞伎は女性が演じていたんだけど熱烈なファンが多すぎて風俗の乱れが懸念されたため、少年が演じるようになった。すると今度は少年好きファンが増えすぎて、とうとうおじさんたちが演じるようになったんだよ。
女歌舞伎→少年歌舞伎→野郎歌舞伎の歴史…ですね。
興味深いのは、現代でも歌舞伎で女装して女性役を演じる女形は人気ですが、歌舞伎の創始者である出雲阿国も男装しての踊りが人気だったということ。
確かに出雲阿国像は帯刀していて、男装しています。
宝塚歌劇団や「ベルサイユのばら」のオスカル、ちょっと飛躍しますがBL文化など、「男装する女性」「女装する男性」はどこか人間を惹きつけるものがあるのでしょうね。
人間の「変身願望」を掻き立てるのか、それとも「境界の魅力」というものが存在するのか…興味深いです。
まとめ
京都の四条河原町で出雲阿国像を見て、立ち止まってみた旅行記でした。
地元客も観光客もあまり振り返らずひっそりと立っている出雲阿国像ですが、芸能・歓楽の町としての祇園・河原町の歴史を垣間見たような気がしました。