プラハ城最大の見どころが、聖ヴィート大聖堂。
カレル橋から見える、プラハ城のお城っぽい尖塔は、聖ヴィート大聖堂のものです。
聖ヴィート大聖堂の内部観光をご紹介します!
聖ヴィート大聖堂は正面からは見づらい
プラハ城の場内に入り、チケット売り場がある広場を取り囲んでいる回廊をくぐると、すぐに目の前にドーンと聖ヴィート大聖堂が現れました。
どどどーん!
心の準備ができないまますぐに現れる聖ヴィート大聖堂。
この正面部分は、トンネルのようになっている回廊をくぐるとすぐなので、前に開けた広場がありません。
そのため、こちら側から全体像を撮影するのは難しいです。
この写真もしゃがんで撮影して、やっとのことで一番上まで入りました。
見事なゴシック建築の全体像を見たいと思っていたので、ちょっとだけ残念。
聖ヴィート大聖堂の入り口付近は無料で入れる
気を取り直して、聖ヴィート大聖堂に入ります!
中はいかにもゴシック教会!ツンツンした感じとステンドグラス!
聖ヴィート大聖堂は、有料入場スポットですが、チケットを持っていなくても、入口付近までは入れます。
ミュシャ作のステンドグラスをじっくり観賞!
聖ヴィート大聖堂はゴシック聖堂らしく、数多くのステンドグラスで飾られています。
その中には、19~20世紀のアールヌーヴォー時代に活躍した画家、アルフォンス・ミュシャの作品があります。
日本でも人気のミュシャがチェコ人とは知りませんでした。チェコ語ではミュシャではなく「ムハ」と言うのだそうです。
ミュシャ作のステンドグラスは、左側の数えて3番目の窓です。遠目に見ても、幻想的で素敵!
中央に聖ルドミラと聖ヴァーツラフ
中央部分はオレンジ色が強くて目立っています。目を閉じて手を広げているのが聖ルドミラ、その下で手を合わせているのが、聖ルドミラの孫、ヴァーツラフ王子だそうです。
ヴァーツラフ王子、なんてかわいらしい!
ヴァーツラフ王子は、成人後ヴァーツラフ1世となり、この聖ヴィート大聖堂を建設します。
没後は聖ヴァーツラフとして聖人とされるので、おばあちゃんも孫も聖人なんですね。
青色部分はメトディウス・キリルの兄弟物語
ヴァーツラフ王子たちの下、やや見やすい目線の先に、非常に目立つ二人の青い美女…と思ったら、この二人は女性じゃなくて、兄弟!美兄弟!
どんな兄弟かというと、お兄さんがメトディウス、弟がキリル。
ん?キリルと言えばキリル文字?
そうです!弟のキリルさんはかなり優秀だったそうで、キリル文字のもとになる文字を作ったのだそうです。
何のためかというと、中世のチェコ(モラヴィア王国)でキリスト教を広めるために、聖書をスラブ世界の言葉に翻訳したのだとか。
弟キリルさんは先に亡くなってしまい、残されたメトディウス兄さんは、チェコでのスラブ系言語での布教に尽力します。
細かい場面まではわかりませんでしたが、そんな聖兄弟の生涯が、ミュシャの幻想的な筆によって描かれています。
この兄弟の活動は、当時の東西教会の対立に翻弄されながら、チェコはカトリック(=スラブ語ではなくラテン語での典礼)の世界に入るという結末をむかえるため、サクセスストーリーとは言えないかもしれません。
ですが、「チェコ人」という民族意識が高まっていく中で、二人の兄弟はチェコ人の誇りとなっていったようです。
この辺の話は、「物語チェコの歴史」という本で読むと興味深いです。
上の方に座っている美女は誰?
ステンドグラスの一番上の部分は、花模様の向こう側に人物が描かれていて、これまた幻想的です。
一番上で両手を広げているのは、イエス・キリストです。
イエス・キリストの真下に描かれた美しい女性は「スラヴィア」といって、ミュシャが創作したスラブを象徴する女神なのだそうです。
地域の擬人化って…現代日本のコミック・アニメ界を先取りしているミュシャすごい…。
下部の文字盤はスポンサーロゴ!
ミュシャのステンドグラスの一番下には、このような文字が描かれています。
文字盤自体がカラフルで美しいので、装飾の一部にしか見えないのですが、こちらはステンドグラスを作る資金を提供してくれた銀行のエンブレムなのだそうです。
要するにスポンサーロゴということなのですが、それさえも違和感なく芸術の一部にしてしまっているんですね。
町のあちこちに企業ロゴが氾濫している現代文化から見ると、考えさせられるものがあるなあ~。
ミュシャ以外のステンドグラスも美しい!
聖ヴィート大聖堂はゴシック聖堂らしく、たくさんのステンドグラス作品があり、ミュシャ作品以外の窓も美しいです。
こちらは正面祭壇のステンドグラス。
こちらは後方のバラ窓。
この日はくもったり晴れたりという天気で、外からの日光の入り方が変わると、ステンドグラスの雰囲気も変わり、光の変化を楽しむことができました。
聖ヤン・ネポムツキーの墓碑
聖ヴィート大聖堂で、ミュシャのステントグラスに次ぐ見どころとして知られるのが、銀をふんだんに使って作られた聖ヤン・ネポムツキーの墓碑です。
聖ヤン・ネポムツキーは、カレル橋の人気銅像でおなじみですね。頭上に5つの星があります。
宙に浮いているのが不思議な感じの、天蓋を持っている天使。この天蓋も、パッと見だと柔らかい布に見えますが、彫刻なので驚きます。
聖ヴァーツラフの礼拝堂
右側の中ほどには、聖ヴァーツラフの礼拝堂があります。14世紀にパルレーシュによって設計されました。
中には入れませんが、入り口からのぞくことができます。
聖ヴァーツラフだけが銅像で、その銅像を取り囲むように絵が描かれた、ユニークな装飾になっています。
ミュシャのステンドグラスに描かれたあの美少年が、ここに祀られている聖ヴァーツラフの若い頃です。
大聖堂内を出たら右側側面の鑑賞も忘れずに!
聖ヴィート大聖堂は、内部の見どころがたっぷりなので、つい忘れてしまいがちなのが、外側の装飾です。
最初に書いたように、正面部分は前に開けた広場がないので、しっかり全体像を見ることができないのですが、右側側面は広場からしっかり鑑賞できます。
見事なゴシック聖堂です!
側面には、最後の審判を描いた美しいモザイクもあります。
左には審判を受けるために、死者たちが天使から墓の中から起こされている様子が描かれています。
聖ヴィート大聖堂を出た時に、ちょうど日が差してきて良い天気になり、モザイクがキラキラと輝いて綺麗でした。
まとめ
聖ヴィート大聖堂は、ミュシャ作のステンドグラスをはじめ、内部観光は非常に見ごたえがありました。
無料エリアからだけでは大まかな雰囲気しか楽しめないので、ぜひ有料でも入場することをおすすめします。
聖ヴィート大聖堂は外観も内観もすばらしく、プラハ城では一番の名所だと感じました。