行く前から室生寺LOVEで、行った後は室生寺の熱狂的ファンと化したワタクシが、室生寺の魅力や見どころ、観光に必要な所要時間をタップリとご紹介します!
まずは「室生寺ってどんなお寺?」を簡単に!
まず、室生寺というお寺を簡単にご紹介します。
室生寺は白鳳時代に天武天皇の勅命によって建てられたという史料もありますが、平安時代初期に創建されたというのがポピュラーな説です。
具体的には8世紀末に、興福寺の高僧・賢憬(けんきょう)によって建てられたと言われています。
興福寺の高僧が建てたこともあってか、室生寺は長く興福寺との関係が深かったそうですが、江戸時代に興福寺から独立し、真言宗(密教のひとつ)の寺院となりました。
「密教」は「秘密仏教」の略語。深淵な教えが特徴で、平安時代初期に唐からもたらされた。仏教の教えがシンプル化して庶民に広まっていく前の、学問僧や貴族向けの教えという感じ。
「室生寺=平安時代初期に興隆した密教の寺院」というイメージがありましたが、室生寺が密教寺院になるのは江戸時代以降なんですね。
室生寺の大きな特徴は、人里離れた山中に建てられていること。
室生寺に行くには、奈良駅から電車とバスを乗り継いで、1時間半くらいかかります。
奥まった山にひっそりとたたずむ室生寺は、奈良の市街地にあるお寺とは違った、独特の雰囲気をまとっています。
自然の中に神秘的に建つ建築物も魅力的ですが、室生寺の仏像もまた魅力的なものが多いです。建物も仏像も国宝がシレっと複数あります。
参拝に人気がある季節は、シャクナゲが咲く4月と、紅葉の季節。
また、室生寺と同じ真言宗の総本山・高野山が明治初年まで女人禁制だったのに対し、室生寺は女性でもお参りできたため、女人高野という呼び名も持っています。
室生寺観光に必要な所要時間は?
室生寺は山中にぽつんぽつんと建物があり、どこまで見て回るかで観光に必要な所要時間が変わってきます。
一番のポイントは奥の院まで行くかどうか、です。
奥の院までの往復にかかる所要時間は30~45分です。奥の院については下記でくわしくまとめています。
奥の院まで行くなら観光の所要時間は最低でも1時間半は欲しいです。
また、別料金となる寳物殿(ほうもつでん)に入るかどうかもポイントです。
奥の院にも寳物殿にも入るなら2時間は確保しておいたほうがよいです。
奥の院にも寳物殿にも入らず、仁王門~五重塔までを見学するなら1時間あれば大丈夫かなという感じです。
こちらは室生寺で頂いた境内地図。寳物殿は順路の一番最初、奥の院は山の上にあります。
室生寺観光に必要な時間の目安をまとめます。
仁王門~五重塔+寳物殿+奥の院 | 2時間以上 |
仁王門~五重塔+奥の院 | 1時間半以上 |
仁王門~五重塔+寳物殿 | 1時間以上 |
仁王門~五重塔のみ | 45分~1時間 |
室生寺は山中にあって階段が多く、体力に自信がない場合は、所要時間を大目に見積もっておくことをおすすめします。
私は2時間10分ほど滞在して、寳物殿、仁王門~五重塔、奥の院までフルコースで、結構ゆったりと堪能できました。
室生寺の見どころを紹介!
さてっ!ここから室生寺ラブの私が、室生寺の見どころ・魅力をたっぷりとご紹介します。
とは言っても、カメラ下手な私が、低スペックスマホで撮影したポンコツ写真ばかりなので、実物は100の100乗倍くらい魅力的であることを頭に入れておいてくださいね!
順路通りに、どんどん上に登っていく形でご紹介します!
太鼓橋
まずは室生寺に入る前に、赤く孤を描いた太鼓橋で足が止まってしまいます。
橋を渡って入るお寺ってのが、もうそれだけで雰囲気バツグンです。当然私もここで立ち止まって、室生寺に入る前にかなり時間を費やしてしまったという…。
寳物殿
拝観受付を済ませると、最初に見える建物が寳物殿(ほうもつでん)です。室生寺の入山料とは別料金になります。
寳物殿自体は2020年に完成した新しい建物ですが、中は魅力的な仏像満載です。
国宝の十一面観音菩薩立像は、独特のどこかかわいらしい佇まいが魅力です。
また、同じく国宝の釈迦如来坐像は日本史の資料集でもよく見ますが、翻波式(ほんぱしき)と呼ばれる美しい衣類の流れと、何となく親しみやすい顔立ちが魅力です。
左が釈迦如来坐像、右が十一面観音菩薩立像。内部は撮影禁止なので、看板撮影です。
それから見逃せないのが、十二神将立像。
鎌倉時代に作られた小さなサイズの像ですが、頭部に十二支の動物がついていて、守護が仕事の武将のハズなんですが、むしろ楽しく遊んでいるようでほっこりした気持ちになる仏像です!
室生寺の十二神将立像は名称通り十二体ありますが、そのうち半分の六体がここ寳物殿にあり、あと半分は金堂にあります。
金堂は特別拝観の時期以外は仏像を近くで見れない上に、中が暗くてほとんど見えません。寳物殿で、室生寺の仏像の魅力に触れることをおすすめします。
寳物殿が入っている建物の左の方にはキレイなトイレがあります。
仁王門
赤い仁王門をくぐると、いよいよ室生寺巡り(≒上り)スタートです。
仁王門は1965年に再建された新しいものですが、太鼓橋の赤色とマッチしている感じがあって、室生寺の景観になじんでいます。
鎧坂
仁王門を過ぎると、左手の方に最初の上り階段が見えてきます。坂の向こうには金堂の屋根が見えています。
この階段は鎧坂(よろいざか)と呼ばれます。坂という名前ですが階段です。
シャクナゲの季節には非常にフォトジェニックになるそうですが、シャクナゲが咲いてなくても雰囲気たっぷり!
金堂(国宝)
鎧坂を上り切ったら…現れたのは金堂(こんどう)。創建時(平安初期)の建築物です。
…これは素敵っ!国宝っ!私の語彙力では表しきれないし、カメラ力でも伝えきれないっ…!
古代日本人はこういう風に感極まって言葉にならない時に和歌を詠んだのね…。
何と言いますか…古い感じがいいんですよね。おそらく修復されたことはあるのだと思いますが、その修復の仕方も変にピカピカにせずに、素敵な佇まいをそのまま残しています。
金堂は中には入れませんが、廊下を歩いて中をのぞくことができます。
中には国宝の薬師如来立像や、十二神将立像のうち六体などが安置されているのですが…遠目で、しかも中が暗く、あまり見えません。
薬師如来立像はしっかり見てみたかったんだけどなあ…。室生寺で唯一残念だったことでした。
金堂の近くは非常に雰囲気がよいです。
苔むしたワイルドな石に彫られた仏様が祀られていたり。
小さな祠に続く雰囲気のよい階段があったり。
弥勒堂
金堂の向かって左には、これまた雰囲気の良い小さな建物があります。
こちらは弥勒堂(みろくどう)で、創建時の建物ではありませんが、鎌倉時代に作られた重要文化財です。
弥勒堂の名前通り、弥勒菩薩立像(重要文化財)が安置されています。
本堂(国宝)
金堂や弥勒堂のあるエリアから階段を上った場所にあるのが本堂です。
本堂は鎌倉時代の建造物で、同じく鎌倉時代に作られた弥勒堂と少し似ている感じがありますね。
本堂は金堂や五重塔と並ぶ、国宝の建築物です。
金堂が動的でダイナミックなのに対し、本堂は静的で安定して見えます。山岳に作られた寺院らしく、地形に影響されているのかなと思いました。
個人的には外観は金堂の方が感動しましたが…本堂は中に入れるのが魅力っ!
靴を脱いで中に入り、本尊の如意輪観音菩薩像(にょいりんかんのんぼさつぞう)を拝めます。ちょっと遠目ですが、神秘的なお姿に惹きつけられます。
私がお邪魔した時は、尼僧さんがお経を唱えている声が聞こえていました。「女人高野」という感じがして雰囲気が良かった!
桂昌院塔
本堂の次は五重塔に進む人が多いですが、「大奥」を読んだことがある私は、興味があって桂昌院塔(けいしょういんとう)に立ち寄りました。
桂昌院は徳川五代将軍綱吉の母で、綱吉はマザコンで桂昌院が政治に口を出した…とよく言われますね。
「大奥」でも桂昌院は悪役とまではいきませんが、そのような描き方でした。
桂昌院は仏教に厚く帰依していて、「大奥」では綱吉に世継ぎを産ませるための傾倒だったと描かれています。
室生寺は一時衰退していた時期がありましたが、江戸自体に桂昌院の力添えで復興したそうです。
桂昌院塔が境内にあるのはそのためで、何と室生寺の紋章にも徳川家や桂昌院の実家の家紋が入っているそうです。
五重塔(国宝)
さて。お待ちかねの五重塔です!
本堂の脇から階段を上っていきますが…あらやだ、素敵すぎる、かわいすぎる…!
山中の狭い土地に建てられていることもあり、屋外にある五重塔としては日本最小です。
創建時、平安時代初期の建物で国宝。室生寺の中で一番古い建物だそうです。
1998年に台風で損傷を受け修復されているためか、金堂や本堂より新しく見えますが、そんなことはどうでもよいです!
自然の中に佇む風情たっぷりの姿は…もう和歌を詠みたくなりますよ!(詠む才能がないのがいと口惜し)
五重塔は素敵すぎて回りをウロウロしてしまいましたが、五重塔周辺も雰囲気があります。
小さな石仏がずらっと並んでいます。
包容力のありそうな、親しみやすい仏様たちです。本当に室生寺はかわいらしくてやさしいお寺!
奥の院・御影堂
さて。五重塔まで、結構階段を上ってきましたが…ここからさらに上の奥の院まで行くか、大きな選択を迫られます。
奥の院は往復で30~40分はかかります。
しかも、こんな階段を延々と上っていきます。時間と体力と相談して、決断しましょう。
奥の院と呼ばれるエリアには、御影堂(みえいどう)と呼ばれる重要文化財の建物があります。
誰の「御影」かというと、真言宗の祖・空海(弘法大使)の像が中に安置されています。
弘法大使像は通常非公開ですが、たまに開帳があるようなので、室生寺の公式サイトなどでチェックしましょう。
奥の院についてもっと詳しい記事はこちら。
室生寺観光の注意点
室生寺の敷地内にはトイレがありますが、出入り口の近く、寳物殿が入っている建物にしかありません。
仁王門をくぐり、鎧坂を上って室生寺観光を本格的に始めた後はトイレがないので、上にのぼる前にトイレを済ませておきましょう。
また、室生寺は山岳寺院なだけあって、かなりの階段を上ります。奥の院まで行かなくても結構上ります。
ヒールのある靴での観光はしんどいので、歩きやすい靴で行くことをおすすめします。
それから大きな杉の木が多かったので、花粉の季節に行く場合は気をつけてください。
まとめ
いや~、室生寺ラブすぎてガッツリ語ってしまいました。長々とお付き合い頂き、ありがとうございました!
語り終えたら、室生寺を訪問した時の興奮がよみがえってきましたよ…。
「室生寺は奈良の市街地から遠いから行くのどうしようかな?」と迷っていたら、「ぜひ行って!」と背中を押したいです!
奈良駅からのアクセスは、遠足を取りやめるほどはしんどくないと思いました!
奈良好きの私、奈良はあっちこっち行ってますが、うん…室生寺がナンバーワンですね!興福寺国宝館と迷いますが、僅差で室生寺ですっ!