華やかな帝都ウィーンであちこちに見られるのが、世紀末建築と呼ばれる建物です。
世紀末建築とは、19世紀末に流行した機能的で斬新な建築物のことだそうです。
そのネーミングに中二病のケがある私は心惹かれてしまうんですけど(笑)
ウィーンで見られる世紀末建築の中で、ひときわ目を惹くのが金色のキャベツみたいなセセッシオン(分離派会館)。
1898年にヨゼフ・マリア・オルブリヒという建築家によって建てられました。
遠くからでも「何あれ?」って感じで目立っているセセッシオン。ぜひ、近くまで行ってみましょう!
セセッシオンの黄金キャベツは近くで見ると美しい!
セセッシオン(分離派会館)は、ウィーンの町から遠目で見るとこんな感じです。
「金色のキャベツ」という異名を持っていますが、私には金色の脳に見えて、遠目ではちょっと気持ち悪く、ふと視界に入るとギョッとするものがありました。
しかし、この金色の独特のドーム屋根は、近くで見てみると意外に綺麗なんです!
近くで見ると金色のドーム屋根は、月桂樹の金色の葉で覆われているんです!
この月桂樹の葉の数は3000枚だそうですが、完全に屋根を覆っているのではなく、ちょっと透かした感じになっているのが美しいです。
月桂樹はギリシャ神話の芸術をつかさどる神アポロンの象徴として使われているのかもしれませんね。
セセッシオンの正面部分
セセッシオンの正面部分はこのような感じで、ドーム屋根の金色をポイントで使っています。
玄関に飾られた3つの顔は、ギリシャ神話の怪物、髪の毛が蛇でできていて、目が合った者を石に変えてしまうというゴルゴーン3姉妹。
「なぜ玄関に怪物?」という感じもしますが、古代からヨーロッパ建築では、ゴルゴーンの彫刻や絵を魔除けとして入口に飾る伝統があります。
毒を持って毒を制すという考え方ですかね?
しかしこのゴルゴーン三姉妹は、恐い顔というより何だか悲しそう…。
セセッシオンの中に展示されている、クリムト作ベートヴェンフリーズにもゴルゴーン三姉妹が登場します。
そのゴルゴーンもどこか寂しそうなので、セセッシオンの外にいるゴルゴーンと、中にいるゴルゴーンを見比べてみると面白いかもしれません。
セセッシオンに書かれた文言の意味は?
ゴルゴーン三姉妹の上の方には、金色で格言のような文字が書かれています。
写真を撮り忘れたので、こちらはセセッシオンでもらったパンフレットを撮影したものですが、こんな感じでドイツ語で書かれています。
”Der Zeit ihre Kunst. Der Kunst ihre Freiheit”
「時代にはその時代の芸術を。芸術には自由を」
金色キャベツは「新しい時代に、過去の芸術にとらわれずに作り上げた芸術」というようなメッセージですかね。
セセッシオンをぐるっと回ってみよう!
セセッシオンはちょこちょこと見どころがある建物なので、ぐるっと回ってみましょう。
入口に飾られているオリエンタルな雰囲気満載の植木鉢。よく見ると、亀がこの鉢植えを支えています。
壁を装飾している植物モチーフは、世紀末建築の特徴だそうです。
三羽のフクロウ君たち。フクロウは西洋では知恵の象徴ですね。
フクロウ君たちの後ろには、ドーム屋根を飾る月桂樹の葉と対応するように、月桂冠も見られます。
これは、かわいいんだけど何だろうな。
列をなしているギリシャ風の女性たち。世紀末建築では、こういう平面的なのっぺりした無表情な絵もよく見られます。
セセッシオンは外も中も楽しもう!
以上、「建築としてのセセッシオン」のご紹介でした。
セセッシオン内部は、クリムトによる「ベートヴェン・フリーズ」という作品が展示されていることでも有名です。
「ベートヴェンフリーズ」はウィーンで見たクリムト作品で最も好きでした!
ウィーンに行ったら、ぜひセセッシオンの外側も内部も楽しんでください!