奈良旅行で唐招提寺に行ってきました。
唐招提寺の見どころと、見学に必要な所要時間などをご紹介します。
唐招提寺の魅力とは?
唐招提寺の魅力は、何と言っても平城京時代の古代建築が残っていることです。
木造建築の多い日本は古い建築物の保存が難しく、歴史の中で戦火を受けてきた京都には、残念ながら古代(~平安時代)の建築物が残っていません。
奈良にも古代建築は数えるほどしか残っていませんが、唐招提寺では貴重な古代建築を拝めます。
唐招提寺は名称に「唐招」とあるように、唐から招いた高僧・鑑真が創建したお寺です。
唐招提寺は日本文化史でも名高い鑑真和上坐像という、日本最古の肖像彫刻(実在する人物の像)の傑作を所蔵しています。
唐招提寺見学の所要時間の目安は?
唐招提寺見学に必要な所要時間は、1時間前後が目安です。
金堂や講堂の中には入れませんが、堂内には見ごたえのある仏像があります。
金堂・講堂を見学した後、戒壇や、少し離れた鑑真和上御廟まで足を運び、唐招提寺全体を一周するなら最短でも50分くらいは欲しいです。
私はゆっくりと境内の雰囲気を楽しみながら歩き、見学に1時間半近くかかりました。
唐招提寺の見どころを左回りの順路で紹介!
唐招提寺の主な見どころを、南大門(正門)をくぐって、左回りに境内を回る順路でご紹介します。
金堂(国宝)
門をくぐって、すぐ目の前に見えるのが金堂です。
唐招提寺のシンボル的建物で、鑑真が唐からやってきたという下知識があるせいか、どことなく唐風に見える、風情たっぷりな横長の建物です。
唐招提寺創建時の8世紀後半の姿を保っている建物で、日本でも数少ない古代の建築物という点でもレア感があります。
ちょっと注目したいのは、屋根の左右のてっぺんについている鴟尾(しび)。
井上靖さんの小説「天平の甍」を読んだ後に唐招提寺でこの鴟尾を見ると、鑑真を日本に招くため人生をかけた留学僧たちに思いを馳せてしまいます。
金堂の中には入れませんが、外から中をのぞいて、安置されている仏像を見学できます。
実際に千本近くの手があることで知られる(953本)千手観音菩薩立像をはじめ、国宝級の複数の仏像を拝めます。
講堂(国宝)
金堂の真後ろにある建物が、講堂です。
講堂も8世紀後半の建築物で、古代建築です。金堂と並ぶ唐招提寺のツートップ的な建物といえます。
講堂には面白い歴史があり、実はもともと平城宮の建物だったものが唐招提寺建立時に建物ごと移築されたのだそうです。
平城宮は復元されましたが、オリジナルの建物はまったく残っていません。
ですが、唐招提寺にこのような形で平城宮の建物が残されていることに、歴史の偶然を感じますね。
講堂も金堂と同じように横長の風情ある建物ですが、金堂とくらべると、荘厳というよりどこか親しみやすい雰囲気。
もともとお寺、宗教施設でなかったこともあるのかもしれませんね。
講堂も中に入れませんが、外から国宝、重要文化財の仏像を拝めます。
戒壇
唐招提寺を一回りするために、講堂見学後には左側にある戒壇へ足を運びました。
階段の部分は鎌倉時代のものですが、上に載っている宝塔は1900年代に作られた新しいものです。
建物そのものは、江戸時代に火災で焼失されてから再建されていません。
ですが、
鑑真はわざわざ授戒(正式な僧になるための資格を与える儀式)のために日本に来てくれたんだよな~。授戒の場所である戒壇は見学しておきたい!
…と思い、唐招提寺の戒壇を感慨深く見学しました。
が!よく考えれば、来日後の鑑真は唐招提寺じゃなくて東大寺で授戒したのであった…。
聖武天皇(上皇)とか光明皇后とか孝謙天皇とか、有名人には東大寺で授戒したんだったね。うん。「天平の甍」にも書いてあった気がするよ。
いいんです。晩年の鑑真は唐招提寺で授戒したのですからね。唐招提寺の戒壇は、木々に囲まれて雰囲気がよかったです!
開山堂
唐招提寺を一周するために、戒壇の見学後は奥へと進み、一番右奥にある鑑真和上御廟を目指しました。
その途中にあったので、のぞいてみたのが開山堂。
何があるのかというと、普段見せてくれない秘仏(鑑真は人間なので秘仏という言い方は変かな?)の鑑真和上坐像の御身代わり像を拝めるのです。
御身代わり像とは…ぶっちゃけた言い方をすればレプリカです。2013年に作られた新しいものです。
レプリカなので結構近くで見れるのかなと思ったのですが、建物の中をのぞいて遠目に見えるだけで、写真撮影も禁止。
うーん…鑑真和上は、そんなに庶民と隔絶された存在なのか…と思いますが、信仰的な話なので、無宗教の私がアレコレ言うことではないのでしょう。
鑑真和上御廟
唐招提寺の一番右奥に、鑑真和上御廟(鑑真のお墓)があります。
奥まった場所にあるためか、訪れる人が少ないのですが、雰囲気がいいので足を運ぶことをおすすめします。
鑑真は木々に囲まれて、静かに眠っています。
こちらの鑑真のお墓にたどりつくまでの道が、唐招提寺の中で最も美しい場所だと感じました。
鑑真のお墓には一本の細い道がまっすぐ通っていて、左右には苔と木々が作る美しい空間が広がっています。
まさにモスグリーンという色が光の具合によって明るさを変え、実に神秘的です。
宝蔵・経蔵(国宝)
鑑真和上御廟からメインの建物が立ち並ぶ場所へ戻ってくると、日本史の教科書でおなじみの校倉造(あぜくらづくり)の建物が目に入ります。
宝蔵(ほうぞう)と経蔵(きょうぞう)です。
金堂や講堂に隠れている感はありますが、どちらとも奈良時代の建物で、国宝です。
校倉造の代表といえば東大寺の正倉院ですが、唐招提寺の宝蔵と経蔵は正倉院にくらべるとずっと小さくて可愛らしいです。
正倉院はカッコいいんですが、何せ宮内省管理のため近づくことができず、遠目で外観を見るだけです。
その点、宝蔵・経蔵は目の前で拝むことで、古代建築の息吹のようなものに触れることができ、感動を覚えます。
宝蔵と経蔵は双子のように見えますが、実は入り口側にある経蔵の方が小さいです。
経蔵は唐招提寺が建立される前からこの地にあったとされ(新田部親王邸の米倉だったらしい)、正倉院より古い、日本最古の校倉だそうです。
鼓楼(国宝)
国宝だらけの唐招提寺には、もう一つ国宝の建物があります。
金堂と講堂の間、正門からみて右手の方にある鼓楼(ころう)です。
鼓楼は唐招提寺建立時の建物ではなく鎌倉時代に再建されたものですが、国宝指定されています。
面白かったのは、鼓楼は武士の時代・鎌倉の建造物であるためか、鬼瓦の顔つきが、奈良時代に建てられた金堂・講堂よりも勇ましいこと!
金堂・講堂の鬼瓦は上の方にあって、私のスマホではうまく撮影できませんでしたが、現地でぜひ見くらべてみてください。
唐招提寺は庭園も見どころたくさん!
唐招提寺は国宝の建築物や仏像が多く、建物の外観や内部を見学するだけでお腹いっぱいになりますが、庭園も美しいです。
最も美しいと思うのは上述した鑑真和上御廟周辺の庭ですが、境内には他にも苔むした庭園が見られます。
私が訪問したのは3月ですが、初春の花も咲いていました。
鴨や亀が暮らす小さな池もいくつかあります。高校の修学旅行では真夏に訪問しましたが、苔むした蛙がいて、とても印象に残っています。
まとめ
唐招提寺の見学ポイントをまとめます!
唐招提寺へJR奈良駅からバスでアクセスする方法は別記事にまとめています。