奈良旅行で唐招提寺の次に訪れたのが薬師寺です。
薬師寺の魅力や観光に必要な所要時間、見どころのポイントなどをまとめてみました!
薬師寺の魅力とは?
薬師寺は奈良の西ノ京というエリアにあるお寺で、東大寺や興福寺、唐招提寺などと一緒に「古都奈良の文化財」として世界遺産に登録されています。
薬師寺の何がスゴイかというと、創建時…白鳳時代の古代建築が残されていること。
創建時の建物として残っているのは東塔だけ(画像左)なのですが、この創建時というのは白鳳時代。平城京よりもさらに前の時代、7世紀です。
木造建築が多い日本は、古代の建築物は火災で失われているものが多く、薬師寺(東塔)は法隆寺、法起寺に次ぐ、3番目に古い貴重な古代建築なんです!
薬師寺には白鳳時代に作られた仏像もあり、奈良時代よりも古い古代日本の美を鑑賞できるというのが薬師寺観光の最大の魅力です。
ただし同行者は、高校で日本史を履修していなくて日本古代史に興味がなく、再建された新しい建物が多い薬師寺は少し退屈だったみたいです。
私が興味を持って長居しすぎたせいもあるんですけどね。反省です。
「薬師寺に魅力を感じるかは、日本古代史に興味あるかどうかに左右されるかも」…ということをつけ加えておきます。
薬師寺観光に必要な所要時間は?
薬師寺は広大な敷地に建物が並んでいますが、東塔以外の建物はほとんど再建で、20世紀後半以降に建てられています。
古い建物や国宝の仏像を中心に見学するなら、所要時間は45分~1時間程度が目安です。
再建された建物もじっくりと見学し、敷地内から少し離れた場所にある玄奘三蔵院伽藍まで入るなら、1時間半くらい必要です。
薬師寺で外せない三大見学ポイント
白鳳時代の美を伝える薬師寺の見学で、絶対に外せない観光ポイントは3つ!
- 東塔
- 薬師三尊像
- 聖観世音菩薩像
「凍れる音楽」と称される東塔
薬師寺のシンボルは、何と言っても白鳳建築を現代に伝える東塔です。
薬師寺の他の建造物はすべて火災によって失われたのに、東塔だけが残っていたのというのは、奇跡的な話ですね。
東塔はパッと見ると六重の塔に見えますが、実は三重の塔です。
上から数えて偶数番目にある屋根は、実は正式な屋根ではなく裳階(もこし)と呼ばれる飾りです(風雨から建物を守る役割もあるらしい)。
裳階を含めた6つの屋根が、大小絶妙なサイズで並んでいる様子はどこかリズミカルで、東塔は「凍れる音楽」という粋な表現で称えられます。
エキゾチックな薬師三尊像
薬師寺は、東塔と共に創建時である白鳳時代の美を伝える仏像、薬師三尊像でも有名です。
薬師寺は680年に天武天皇が皇后(後の持統天皇)の病気がよくなることを願って発願したお寺で、本尊はお寺の名前のとおり薬師如来(医薬の仏様)です。
その薬師如来の両脇に日光菩薩と月光菩薩が立っているのが、薬師三尊像。
日光菩薩と月光菩薩は、太陽と月の光を象徴していて、昼でも夜でもこの世を照らしてくれる対の仏様です。
薬師三尊像は金堂の中にあります。金堂には正門の反対側から入ります(薬師三尊像は撮影禁止。上の画像はウィキペディアより引用)。
薬師三尊像は白鳳時代(7世紀)のものですが、保存状態の良さに驚きます。
古い時代の仏像ということで、動きは少なくシンプルな姿ですが、律令国家完成の途上である白鳳時代特有の清純でいきいきとした雰囲気があります。
薬師三尊像は台座の彫り物も注目です。
薬師三尊像の後ろ側から台座を見学できるので背後に回るのを忘れないようにしましょう!
台座に掘られた人物は東洋人には見えない容貌で、7世紀には唐を通じてシルクロードの香りが日本まで届いていたことを示唆しています。歴史のロマンですね。
中央の人物(神?)は、三尊像が載っている台座をあたかも支えているようなポーズを取っているのもユニークです。
ちなみに台座には四面に彫り物があるのですが、残念ながら三尊像の背後側の面しか見えません。
北門(唐招提寺側)近くの東僧房内に、台座の四面のレプリカがあるので、代わりにこちらを見学しましょう。
レプリカを見ると、四面それぞれに方角を表す四神獣(青龍・朱雀・白虎・玄武)が彫られているのがわかります。
画像には映っていませんが、上方にはギリシャ的な葡萄唐草模様もあり、まさに東西を結ぶシルクロードの香り!
みずみずしい聖観世音菩薩像
薬師寺には見逃せない国宝仏像がもうひとつあります。
東院堂にある聖観世音菩薩立像です。
東院堂は建物自体が鎌倉時代のもので、日本最古の禅堂(坐禅修行する場)で国宝指定されています。
靴を脱いで中に入ると、薬師三尊像と似た雰囲気の聖観世音菩薩(しょうかんぜおんぼさつ)立像が迎えてくれます(撮影禁止)。
聖観世音菩薩立像は、薬師三尊像ほど大きくはないですが、風貌が若く見えて、まとっている衣服がオシャレな感じで素敵です。
これまた白鳳時代のみずみずしさ、清純さが感じられ、東院堂は少し奥まった場所にあるためか訪問客が少なく、静かな空間で長く見入ってしまいました。
東塔の水煙が限定公開されていた!
薬師寺東塔の細かい見どころとして、塔の一番上にある水煙(すいえん)があります。
水煙とはぶっちゃけて言うと、棟の上につける飾りです。
私は薬師寺東塔の水煙には思い出があります。
修学旅行で薬師寺を訪問した時、修学旅行生への話がうまいことで有名なお坊さんの説法を聞きました。
とんがってた高校生だった私は
何で坊さんの話なんか強制的に聞かされなきゃならんのよ…
と、斜に構えていたのですが、この話が想像以上に面白くて…。
東塔の水煙は高い所にありすぎてほとんど見えない。でも、天女が舞う姿が非常に美しく彫られている。人間も見えないところこそ美しくしていなければならないんだよ。
…というようなお話でした。
高校生だった私は、
要するに外から見えない下着もオシャレにしておきなさいって意味ね。
…と、この話を聞いてから、母に適当にスーパーで買ってきてもらっていた下着を自分でちゃんと選ぶようになったわけです。
しかし、大学で知り合った親友にこの話をすると、
「見えないところ」って…お坊さんは下着じゃなくて「心」って言いたかったんだと思うよ…。
…親友が正しい気がするね。
すっごく脱線しましたが、「薬師寺東塔の水煙には思い出がある」と言いたかっただけです!
で、私の高校時代は東塔の上に白鳳時代の水煙があったのですが、2009年からの大規模な修復で、オリジナルの水煙は取り外され新しいものに取り換えられたのだそうです。
「ちょっとショック…」と思いましたが、おかげで取り外されたオリジナルの水煙が、ちょうど特別公開されていました!
西僧坊という、新しい建物の中で公開されていました。
オリジナルの水煙が取り外されたのは残念ですが、おかげで遠目でしか見えなかった水煙を、かなりの間近で見ることができました。
高校時代にすごく遠目でしか見れなかった水煙を、こんなに近くで見れてちょっと感激!
塔の上にあったら肉眼で見るのは絶対不可能な天女たちを、こんなに近くで見れるとは!
高校時代にお坊さんが言っていた通り、見えない場所にあるのに、天女たちは音楽を奏で美しく舞っていたんですね。心に沁みます。
水煙の見学には、食堂や玄奘三蔵院伽藍の見学も合わせて、通常拝観料にプラス500円となる共通拝観券が必要でしたが、個人的には見学して良かったです!